バイキングの大迷惑 (The Lost Vikings):その系譜と、子孫と、日本での評価
01この原点とは
The Lost Vikings(バイキングの大迷惑)は、1993年4月29日、後にBlizzard Entertainmentとなるスタジオが開発しInterplayが発売した作品で、1人のプレイヤーに3つの身体を同時に持たせ、そのどれ一つも予備として扱わせなかった。エリックは走って跳び、バレオグは戦い、オーラフは盾を担ぐ。そしてステージは3人全員が出口に立って初めて終わる。つまりどの部屋も、同じ一息のうちに3回解かなければならない。これを小手先ではなく原点にしているのは、その配置が生む圧のほうだ——こちらの注意力は分割できるが、彼らの安全は分割できない。1人を障害物の向こうへ通すことに没頭している瞬間とは、残り2人が放置されている瞬間そのものである。プレイヤーが主人公なのではなく、複数の主人公に対して同時に責任を負う人間になる——そうしたゲーム群の系譜の原点であり、「自分が生かしておかねばならない仲間」は「自分のために戦ってくれる仲間」とは根本的に別の感触だ、という洞察の原点でもある。
02出典
03この原点を継ぐ発掘
国際指定怪異123号 廃村 埋もれた名作
ストアページは状況を4行で並べて、そこで止まる。毎年出現する「廃村」と呼ばれる奇妙な無人村がある。そこには必ず1人の少女が生贄として幽閉される。廃村に突入する特殊部隊が3人いる。あなたはその4人を操作する。設計はそれで全部で、しかも字面より奇妙だ——突入する3人と、既に監禁されている1人は、戦術的な使い分けのために切り替える部隊ではない。同時に生かしておく責任を、こちらが個人的に負っている4人である。その帰結もストアははっきり書いている。「油断するたびに1人また1人と怪異の犠牲になる」。村は一周ごとにランダムに作られ、全体で15分。ゲームが問うのは、その窓の中で脱出できるか、できないか、それだけだ。グラフィックは意図的にクラシック3D風で、そのぶん動作が軽い。公式の英題は存在しない。Steamのname欄自体が日本語のままで、Steamが自動生成した正準URLはただ「123」とだけ言っている。制作は727 Not Hound——Steamに16本を並べる多作な日本のソロホラー開発者で、その16本すべてを個別に確認したところ、全件で開発元と発売元が同一だった。本作にはSwitch版が2021年に告知された経緯があり、開発者本人も「パブリッシャーからお声がかかり」と述べている。しかしNintendo日本の公式カタログを10通りの検索語で当たっても、この名義のタイトルは1件も存在しない。そして開発者は2023年に「シーズン1終了」と区切りをつけている。コンソール版は出荷されなかった。なお当サイトがこの開発者を取り上げるのは今回が初めてではなく、そこも隠さず書いておく。発売日は2022年7月25日、価格¥800。27件のレビュー(好評25件・不評2件、Steam自身のレビューAPI実測)で好評率92%。無料ではない有料タイトルで、アーリーアクセスではなく正式リリース済み、AI生成コンテンツの開示欄は無く、Steamのコンテンツディスクリプタは完全に空である。原型は日本のフリーゲーム配信サイト「ふりーむ!」で無料公開されたものだ。対応言語は日本語のみで、27件のレビューのうち英語はちょうど2件である。