系譜の原点

ファミレスを享受せよ(itch.io無料版):その系譜と、子孫と、日本での評価

01この原点とは

本作が育った、その無料版の原点——『ファミレスを享受せよ』。日本の2名同人サークル 月刊湿地帯(ハンドル名 oissisui)が Godot エンジンで制作し、itch.io で無料公開したブラウザアドベンチャーだ。itch.io の配信ページ本文によれば、「永遠のファミレス『ムーンパレス』に迷い込むアドベンチャーゲーム」で、ドリンクバーもあり、操作は左クリックのみ、推定プレイ時間は30分〜、エンディングは2種。その同じitch.ioページには、Steam版リリース直後に追記された一文があり、追加要素を備えた完成形の商業版——Steam版『ファミレスを享受せよ(Enjoy the Diner)』——へのリンクが直接貼られている。Steam版は Studio Dragonet がUnityでゼロから作り直した一本で、新規の雑談・サウンドギャラリー・イラストギャラリー・Steam実績が加わっている。これは外部からの影響ではなく、開発者本人によるこの無料デモが、後に有料のSteam版として作り直されたものだ。

02出典

03この原点を継ぐ発掘

ファミレスを享受せよ 埋もれた名作

Steam自身のストア文言は、こう茶目っ気たっぷりに掲げる——「なあ君、ファミレスを享受せよ。月は満ちに満ちているしドリンクバーだってあるんだ。」Steam自身のゲーム説明本文によれば、『ファミレスを享受せよ』は「コマンド選択式(一部ポイント&クリック)を採用したアドベンチャーゲーム」で、通常プレイでエンディングを見るまでは「2時間〜2時間半程度」、用意されたエンディングは2種類、「ある選択をする前にあらかじめセーブしておくことをおすすめします」とSteam自身がプレイヤーに直接忠告している。プレイヤーレビューによれば、この舞台設定そのものが仕掛けだ——あるレビューはムーンパレスを「異次元のファミレス」と呼び、別のレビューはプレイ時間の大半を「ムーンパレスにいる人々が何者で、なぜそこにいるのかという謎を解き明かす」ことに費やしたと記し、三つ目のレビューは、最初は地に足のついた状況に見えるが「そう思っていたこと自体がいかに的外れだったかを、じわじわと見せつけてくる」と評している。本作はもともと無料のブラウザゲームとして生まれた——Godotエンジンで制作し、itch.ioで無料公開したのは、ハンドル名oissisuiで活動する日本の2名同人サークル月刊湿地帯で、その同じitch.ioページは今もこのSteam版へ直接リンクを貼っている。Steam版はStudio Dragonet——福岡拠点のひとり開発者せきやdnによるスタジオ——がUnityでゼロから作り直した一本で、Steam自身の表記によれば、無料版に新規の雑談・サウンドギャラリー・イラストギャラリー・フルコントローラー対応・Steam実績(9個、ドリンクバーの飲み物を全種制覇する実績を含む)が加えられている。発行は、わくわくゲームズ(わくわくゲームズ合同会社)——資本金150万円の東京の小規模インディーパブリッシャーだ。リリース日は2023年7月31日、1,125件のレビュー(Steam自身のレビューAPIでは1,093件が好評・32件が不評)で好評率97%の「圧倒的に好評」。無料ではない有料タイトル(米国10.99ドル、日本では1,500円)で、アーリーアクセスではなく正式リリース済み、AI生成アセットはなく、Steam自身のコンテンツディスクリプタ上(ids:なし、notes:なし)性的な要素もない。日本語・英語・簡体字中国語・繁体字中国語・韓国語に対応するが、いずれもテキストのみでボイスは一切なく、1,125件のうち118件、約10.5%はすでに英語レビューで、Steamコミュニティでの議論やBackloggdへの掲載も存在する——だから「西に一切届いていない」と言い切るのは正直ではない。それでも、その届き方は西側の主要な窓口にはまだ至っていない——Kotaku・PC Gamer・Rock Paper Shotgunといった媒体の記事は見当たらず、記録に残る唯一の批評家レビューはIGN Japanによるスコア80で、日本語で書かれている。この圧倒的に好評な小さなファミレスは、今のところほぼ日本語だけで交わされる会話のままだ。

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