なんとなく、クリスタル:その系譜と、子孫と、日本での評価
01この原点とは
なんとなく、クリスタルは、作家・田中康夫が1980年に発表したデビュー小説で、ファッションモデルの女子大生が東京のブランドに彩られた日常を生きる姿を描いた。最大の特徴は、本文が名指しする実在のブランド・店・音楽・流行を解説する442個の膨大な注釈で、その時代の消費文化そのものを作品の実質に変えてみせた点にある。この注釈で時代の風俗を浴びせて作品化するスタイルは、固有名詞の洪水で同時代を切り取る系譜の原点であり、本作「ネオ昭和辞典」の仕組みが直接連なる祖である。
02出典
03この原点を継ぐ発掘
ふりかけ☆スペイシー 埋もれた名作
セル画風のイラストとアニメで展開する、高テンポのネオ昭和ナンセンスギャグノベル。サウンドノベル形式のビジュアルノベルだ。日本のひとり同人作家・よんとんトマチンが、開発も販売も手がけた一本。全7エピソード(アニメ1クール相当)を通して、ブリ耳の主人公・さぁたんと狂気の女子高生たちが、地獄・宇宙・子どもの体内など、シュールな世界を大暴れする。核となる仕組みは「ネオ昭和辞典」——約700語の固有名詞を注釈で解説し、80年代日本の文化を浴びせてくる。80年代のアニメ・ゲーム・映画・音楽・芸能人へのオマージュとパロディが詰め込まれ、30曲超のオリジナルBGM、占いや言葉遊びのミニゲームまで備える。246レビュー96%で日本では非常に好評なのに、西はまだほとんど届いていない——レビューは英語5件に対し日本語189件が主体だ。英語版は存在せず(ストアは日本語と簡体字中国語のみ対応)、80年代日本の固有名詞パロディは翻訳難度が極端に高い。言語そのものが壁になっている。