Crayon Physics Deluxe:その系譜と、子孫と、日本での評価
01この原点とは
Crayon Physics Deluxe は、フィンランドの独立系デザイナー Petri Purho が制作し、2009年に発売した物理演算パズルゲームである。プレイヤーは2Dのキャンバスにクレヨンで形を描き、描いたものはすべて、その瞬間に重力と物理に従う固いオブジェクトになる。ボールを星まで導くには、坂やてこ、振り子、重りを描き、あとはシミュレーションに委ねればよい。インディペンデント・ゲームズ・フェスティバルでシューマス・マクナリー大賞を受賞し、「形を描いて、あとは物理に解かせる」パズルを結晶化させ広く知らしめた、手描き物理パズルの系譜を定義する原点である。
02出典
03この原点を継ぐ発掘
Q2 HUMANITY 埋もれた名作
物理演算パズル。開発・販売はいずれも liica, Inc.(株式会社リイカ)——2011年設立、東京・千代田を拠点とする小規模な商業スタジオだ。Qシリーズのゲームデザインとプロデュースは、『空気読み。』シリーズの作者・栗田祐介が手がける。本作は、2015年に発売された『Q』の続編である。ステージを解く手段は「描く」こと——描いた線や形は、小さな人間たちでできていて、一筆を描き終えた瞬間、それは重力で落下し、本物の物理として振る舞う。転がり、ころがり込み、壁に噛み合い、山になって落ち着く。だからパズルは、答えを「置く」のではなく、形を「描いて」、その落下がゴールの求める場所へ運んでくれることに賭けて解く。その「描く」核の上に、直接手を動かす動詞が乗る——人間たちはジャンプし、掴み、投げ、殴る。さらに18人の人間キャラクターが、強化されたスローモーション、二段ジャンプから、爆弾の起爆、重力そのものを曲げる力まで、それぞれ特殊能力を持つ。ステージは300問を超える。ソロでも、最大4人での協力・競争でも遊べ、オンラインプレイと Remote Play Together に対応する。2024年12月にSteamで発売(2024年8月のSwitch/Nintendo Switch版に続く)、62レビュー90%で非常に好評。無料ではない有料作で、アーリーアクセスでもない正式リリース済み。AI生成アセットはなく、Steam 自身のコンテンツディスクリプタ上、性的な要素もない。日本語と並んで英語にも対応しているが、62件のうち英語レビューは12件(約19.4%)にとどまり、およそ5件に4件は日本語——西はこの一本を、まだほとんど見つけていない。東京のスタジオの作品であり、かつ日本先行のリリース(2024年8月にSwitch、同12月にSteam)でもある、62レビューの隠れた名作。これは無名の同人ではなく、登記された商業スタジオの一本であり、西にはまだ届いていない。