ナルキッソス:その系譜と、子孫と、日本での評価
01この原点とは
ナルキッソスは、片岡ともが執筆・監督し同人サークル「ステージ☆なな」が制作した和製ノベルゲームで、2005年に無料配布作品として発表され、後に内容を拡張して商業化された。余命わずかな若い男女がホスピスの病棟を抜け出し、最期の日々を車で旅して過ごす——奇跡も英雄も悪役もない——静かで物悲しい死生観の物語である。アマチュアの手で作られ無償で配られた作品でありながら、死に向かう者の最期の日々を通して死を見つめる、叙情的な和製キネティックノベルの系譜の画期的な原点である。
02出典
03この原点を継ぐ発掘
沈める楽園 埋もれた名作
死にに来た2人の少女の「最期の一日」を辿る、マルチエンディング型のノベルゲーム。瀬戸内海に浮かぶ架空の孤島・楽日島へ、投身自殺を図りに来た2人の女子大生、澪と渚。冒頭で、その一日を誰の視点で見るかを選ぶ。会話の選択肢でエンドは分岐するが、ただ一つだけ変わらないものがある——少女が死ぬ、という結末だ。道は曲がる、けれど死は曲がらない。任意の場面を読み返せるチャプターモードと、スチルを鑑賞できるギャラリーモードを備える。日本のひとりサークル「匙投げ部」が作り、日本の企業わくわくゲームズが発行した一本。価格700円、全8曲のサウンドトラックは別売。5レビュー100%で日本では好評なのに、西はまだ一切届いていない——5件中、英語レビューは0件。英語版も英語タイトルも存在しない。ストアは日本語のみ対応で、言語そのものが壁になっている。
二万分の一の雨粒達 埋もれた名作
Steam自身の表記によれば、日頃からの冷笑的な態度の影響で孤立した高校生活を送る久我聡は、明日からの修学旅行に辟易している。青春を謳歌しているクラスの中心グループと同じ班になってしまったからだ。しかし一見して仲良しに見える中心グループにも隠れた軋轢があるようで、次第にその問題へと巻き込まれていく。ストア文言は自らの設計判断をはっきり名指ししている——シナリオは分岐なしの一本道で、2時間半ほどで終わる内容。キャラクターボイスは無し。多くのビジュアルノベルが使う立ち絵ではなく、基本的にスチルで進行していく、という意図的な離脱を、ストアページは本作自身の特徴として挙げている。制作・自社発売はソロ同人サークル斜塔ソンブレロ。Steamに並ぶ5作品はすべて自社開発・自社発売である。価格は¥450。37件のレビュー(好評37件・不評0件、Steam自身のレビューAPI実測)で好評率100%(「好評」)。無料ではない有料タイトルで、アーリーアクセスではなく正式リリース済み、AI生成コンテンツの開示欄は無い。Steamのコンテンツディスクリプタは一般的な成人向けフラグを含み、開発者自身の注記を和らげずそのまま伝えると、一部自傷行為を扱う内容だが、実際にその行為を行う場面や流血表現は含まれず、行った際の心情や傷跡が描写される場面が含まれ、心に負担がかかる可能性への注意を求める、というもので、性的表現への言及はどこにも無い。対応言語は日本語のみ。37件の内訳は日本語19件・簡体字中国語15件——実在するが非公式なクロスオーバーで、レビュアーは西側の正式ローカライズではなく有志の中国語ファンパッチを引用している——英語はわずか1件だ。