原石
系譜の原点

Nepheshel(ネフェシエル):その系譜と、子孫と、日本での評価

01この原点とは

Nepheshel(ネフェシエル)は、同人ゲームサークルStudio Tilが制作したRPGツクール2000製のRPGで、2002年6月にWindows向けのフリーウェアとして公開された。公式の紹介ページは同作を「ダンジョン探索型のRPG」とし、ダンジョンは地下で複雑につながっていて、どこをどう通ればどこに出るかは実際に歩いて確かめるしかない、一本道のシナリオは無い、行動を制約するデモは極力少なくした、と書く。敵はマップ上を歩いているので、とてつもなく強い相手のいるダンジョンでも走って突っ切れる。説明書の攻略アドバイスは、隠し部屋が非常に多いこと、その入り口は壁の隠し扉か床の隠し階段であること、中に強力な装備品が眠っていること、見つけられるかどうかで難易度が大きく変わることを挙げている。日本語版Wikipediaによれば、同作は同じRPGツクール製の『イストワール』(2003年)などに影響を与えた。イストワールはNepheshelの強い影響を受けた作品とされ、スタッフの一部が重なり、Studio Tilのサイトでは「姉妹作品」として紹介されていた。この2作の名はジャンルの呼び名にもなった。もぐらゲームスは「ネフェイスト(ネフェシエル・イストワール)」と呼ばれるジャンルを、ダンジョン同士が複雑につながり、謎解きや隠し通路などのマップギミックが多数置かれたRPGと説明している。2作のうち先に出たのはNepheshelで、当サイトは同作を、誰も道を指し示さず、疑った壁の向こうに報酬が待つ和製の自由探索RPGの系譜の原点として置く。Studio Tilは今も公式ページで配布を続けており、Vittone氏が翻訳した2022年の英語版へのリンクもある。Steam版は存在せず、原点はWikidataのエントリで同定する。

02出典

03この原点を継ぐ発掘

[DE:]Fanastasis 埋もれた名作

Steam自身の表記によれば、本作は「発見」を楽しむ、マップ探索メインの長編RPGだ。荒廃した王国には無数の隠し通路・隠し扉があり、隠された場所では宝箱が見つかることもある。手掛かりは必ず存在する——それは地形の見た目の違和感か、あるいは死者の記憶かもしれない。その記憶とは各地に漂う「残留思念」で、探索の手掛かりになる内容は自動でメモに記録され、別々の場所で得た情報が時折つながり合う。ボス以外の戦闘はすべて任意で、物語の目的である4つの「記憶のオーブ」はどの順番で集めてもよく、拠点へ一瞬で帰る方法は「死」だけだ。制作ツールはRPGツクールVX Aceで、ストア記載のプレイ時間は35〜85時間。開発者「もさもさ」(Steam表記 Mosamosa)は、無料版のVer1.00公開を伝える日本語ブログの記事で、2人での制作ではバグを取り切れない部分もあると書いている。同じブログによれば有償版は2023年10月にBOOTH、同年11月にDLsite、2024年4月29日にSteamで販売を開始した。無料版もある。日本のフリーゲーム配信サイト「ふりーむ」で今も配布されている通常版『Fanastasis』(2019年登録)を拡張した有償版が、Steamの本作だ。寄り道マップの追加と既存マップのリメイク(合計6エリア程度)、オマケボス12体、新アイテム約100個、便利機能を加えつつ、メインストーリーとエンディングは元の版と同じで、セーブも引き継げる。184件のレビュー(好評178件)で好評率97%の「非常に好評」。無料ではない有料タイトル(¥2,180)で、アーリーアクセスではなく正式リリース済み。ただし正直に一点開示する——高評価を支えているのは主に簡体字中国語のレビュー(184件中145件、うち好評144件)で、日本語のレビュー30件に限れば好評率83%(好評25件)になる。簡体字のレビュー145件のうち約20件は、有志の中国語化パッチに触れている。開発者は2026年5月、条件付きで非公式の有志翻訳と配布を認めた。英語の翻訳は見つからなかった。対応言語は日本語のみで、英語のレビューは5件。Steamの成人向けコンテンツの説明が挙げるのは、シナリオ内の暴力・流血表現と、薬物やアルコールの乱用・犯罪行為の描写(推奨する意図は無いと明記)で、性的な要素への言及は無い。素材のほぼすべてが既存のもので、素材単体のアート面のオリジナリティは無いこと、操作はキーボードを想定しマウスには非対応であることも、開発者自身がストアに明記している。媒体では、4Gamerはデータベースページのみで、記事は0件。Game*SparkはSteam版を週間の発売リストに作品名1行で載せた程度で、紹介記事は無い。ファミ通・電ファミニコゲーマー・AUTOMATON・IGNでは、Steam版を扱ったものが見つからなかった。もぐらゲームスは無料版を2回取り上げている(2020年12月の単独特集と、2021年1月の『2020年おすすめフリゲ・インディゲーム15選』の1本)。

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