パーフェクトブルー:その系譜と、子孫と、日本での評価
01この原点とは
パーフェクトブルーは、今敏監督、マッドハウス制作による1997年の日本のアニメーション心理サスペンス映画で、竹内義和の同名小説を原案としている。あるアイドルグループのメンバーが歌手活動を引退して女優に転身するが、熱狂的なファンに付け纏われるようになり、凄惨な殺人事件が起こり始めるなかで、現実の彼女と演じる役柄との境界が溶け崩れていく。「エンターテイナーを見つめる観客が、遠くから眺めるだけでは止まらず、その実生活そのものへ手を伸ばし始める」という、日本的なホラーの一系統を結晶化させた作品であり、観客そのものが脅威に変わる作品・ゲーム群の系譜の原点である。
02出典
03この原点を継ぐ発掘
[Chilla's Art] Parasocial | パラソーシャル 埋もれた名作
Steam自身のストア表記が「ライブ配信者を題材にしたジャパニーズホラーゲーム」とだけ説明する一人称ホラー。VHSエフェクト・CRT画面のエミュレーション(蛍光体スクリーントレイル、VHSテープノイズ、インターレース、ジッター)はオプションメニューでオフにでき、Steam自身が公式の特徴として掲げる「心理的ホラー」――日本語版ストア文言では「ゲームプレイ時に後ろに誰かがいるような気持ちを抱かせます」――を核に据える。Steam自身の公式スクリーンショットは、その仕掛けの姿をそのまま映し出す――プレイヤーが操るのは小規模VTuber「千羅ニナ」(本人の配信卓に掲げたポスターに名前がある)。リングライト付きウェブカメラを備えたデュアルモニタの配信環境で、実際に流れるライブチャットの隣には、HEALTH・DANGERゲージ、視聴者数、高評価/低評価ボタンを備えた「配信中のゲーム画面」があり、その中でさらに別のホラーゲームをプレイしている(あるスクリーンショットは日本の都市伝説「赤マント」を題材にした一場面を映す)。配信画面の外でも、彼女の日常を一人称で歩く――スマートフォンのメッセージアプリを確認したり(連絡先には母親、友人、そして開発元自身への軽い自己言及である「チラズカフェ」という一件が含まれる)、夜、開封していない引っ越し用の段ボール箱が積まれたアパートを歩き回ったり、黒いスーツ姿の顔のない店員が雑誌棚を眺めるコンビニに足を踏み入れたりする。Steam自身のストア文言を超える範囲――ファンによるWikiや攻略記事(公式のストア説明文そのものではない)は、これら全体を縁取る筋書きとして、ある視聴者アカウントが千羅ニナに顔出し配信を迫り、パラソーシャルな関係として始まったものがストーキングへと変質し、選択次第で複数のエンディングへ分岐していく、と記している。開発・自社セルフパブリッシュ(外部パブリッシャーなし)は日本拠点の小規模スタジオ Chilla's Art、2023年8月25日リリース。1,675件のレビュー(Steam自身のレビューAPIでは1,574件が好評・101件が不評)で好評率94%の「非常に好評」。無料ではない有料タイトル(米国7.99ドル、日本では920円)で、アーリーアクセスではなく正式リリース済み、AI生成アセットはなく、Steam自身のコンテンツディスクリプタ上(ids:なし、notes:なし)性的な要素もない。英語、日本語(フル音声吹替)、韓国語、簡体字・繁体字中国語、ベトナム語など13言語に対応し、西側への到達はすでに「始まったばかり」ではなく現実のものだ――1,675件のレビューのうち852件、約50.9%がすでに英語で、GamesRadar+は「The scariest game I've played all year」という見出しで単独レビューを掲載し、Dualshockers・Gayming Magazine・Tokyo Weekenderといったメディアに加えTV Tropesのページ、登録者数の大きい英語圏実況者による複数のプレイ動画もすでに存在する――だから「西側がまだ見つけていない一本」と呼ぶのは正直ではない。本当なのは、このサイトが普段扱う「埋もれて静かなままの発掘」と比べれば、これは今も小規模な自社パブリッシュのホラー短編だということだ。