系譜目利き

シミュレーションRPGなのだから、剣と魔法が来ると思うはずだ。来るのは現代の神奈川県で、戦う手段はバイクと拳である

現代日本・神奈川県を舞台にしたシミュレーションRPGで、何を差し替えたのかをストアページは一行で言い切っている——剣と魔法の代わりに、バイクと拳で戦う。登場人物は全て一般的な等身大の学生・社会人である。着想はそれで全部だが、これが良い。SRPGという形式は本来、ファンタジーの地図の上で軍を動かすために作られたものだ。それがここでは、県内で数人の高校生を動かすことを求められている。設計が実際に生きているのは戦闘システムのほうだ。採用されているのは「同時ターン制」で、敵と味方の行動順がきれいに分かれず入り乱れる。つまりこちらは、自分のものではない——そして最後まで完全には自分のものにならない——順番待ちの列を読み続けることになる。ストアはその要求を正確に書いている。突発的な判断力と、長期的な戦略眼の両面が問われる、と。その上に特殊コマンド「シフトチェンジ」が乗る。味方の行動順を組み替えるもので、戦術的な非常口であると同時に、題材を考えればバイクの洒落でもある。キャラクターはそれぞれ固有のスキルとアクションを持ち、物語は「暁雲高校」を舞台にした3年間を全三部構成で描く。制作はAlaska Ohdanbu。この名義でSteamのdeveloper検索を叩くと返ってくるのはちょうど2件、本編と体験版だけで、連絡先は個人のメールアドレスと自身のサイトしかない。価格は¥1,360。35件のレビュー(好評34件・不評1件)で好評率97%。無料ではない有料タイトルで、アーリーアクセスではなく正式リリース済み、AI生成コンテンツの開示欄は無く、Steamのコンテンツディスクリプタは完全に空である。対応言語は日本語と英語の両方なので、これは実際に遊べるほうの一本だ。飾らずに二点。35件のうち英語は7件で、これは当サイトの他の発掘より西側に届いているほうである。誰も触れていないかのように書くより、その数字をそのまま置く。起きていないのは、英語で書かれた編集記事が一本も無い、ということのほうだ。そしてリリースから日が浅く、35件という母数は薄いうえに、まだ動く。

公開 2026-08-05

01まず、その一点の感覚

02こういう人に刺さる

刺さる

  • ファイナルファンタジータクティクスの行動順の扱いを、誰も使っていない舞台で見たい人——入り乱れる手番と、自陣の順番を組み替えるためだけの専用コマンド
  • 規模ではなく縮尺が欲しい人——一つの高校の3年間を全三部で描き、登場するのは等身大の学生と社会人だけ。選ばれし者はいない
  • 実際に遊べるものが欲しい人——日本語・英語の両対応、コンテンツディスクリプタは完全に空、AI開示も無し、開発者のSteam上の存在は本作と体験版だけ

合わない

  • 安定した数字が欲しい人——リリースから日が浅く、35件で97%はどちらにも大きく動きうる薄さである
  • 西に全く触られていないものが欲しい人——35件のうち7件が英語で、これは当サイトの他の発掘より多い。ここでの主張はいつもより狭い。プレイヤーは見つけている。編集者が見つけていない

03系譜:この味の原点

97% が好評レビューはわずか 35 件 — なのに、ほとんど誰も見つけていない

ドラマチックロード 風の発端 埋もれた名作

現代日本・神奈川県を舞台にしたシミュレーションRPGで、何を差し替えたのかをストアページは一行で言い切っている——剣と魔法の代わりに、バイクと拳で戦う。登場人物は全て一般的な等身大の学生・社会人である。着想はそれで全部だが、これが良い。SRPGという形式は本来、ファンタジーの地図の上で軍を動かすために作られたものだ。それがここでは、県内で数人の高校生を動かすことを求められている。設計が実際に生きているのは戦闘システムのほうだ。採用されているのは「同時ターン制」で、敵と味方の行動順がきれいに分かれず入り乱れる。つまりこちらは、自分のものではない——そして最後まで完全には自分のものにならない——順番待ちの列を読み続けることになる。ストアはその要求を正確に書いている。突発的な判断力と、長期的な戦略眼の両面が問われる、と。その上に特殊コマンド「シフトチェンジ」が乗る。味方の行動順を組み替えるもので、戦術的な非常口であると同時に、題材を考えればバイクの洒落でもある。キャラクターはそれぞれ固有のスキルとアクションを持ち、物語は「暁雲高校」を舞台にした3年間を全三部構成で描く。制作はAlaska Ohdanbu。この名義でSteamのdeveloper検索を叩くと返ってくるのはちょうど2件、本編と体験版だけで、連絡先は個人のメールアドレスと自身のサイトしかない。価格は¥1,360。35件のレビュー(好評34件・不評1件、Steam自身のレビューAPI実測)で好評率97%。無料ではない有料タイトルで、アーリーアクセスではなく正式リリース済み、AI生成コンテンツの開示欄は無く、Steamのコンテンツディスクリプタは完全に空である。対応言語は日本語と英語の両方なので、これは実際に遊べるほうの一本だ。35件の内訳は日本語25件・英語7件で、そして英語で書かれた編集記事は一本も存在しない。

あなたの手で、最初の合格を

ファイナルファンタジータクティクス 批評的な木霊

この味の原点——ファイナルファンタジータクティクス。スクウェア開発、PlayStation向けに1997年に日本で発売された。日本製タクティカルRPGに対するこの作品の永続的な貢献は、行動順を事務処理として扱うのをやめ、戦場の第二の地形にしたことだった。素早さがいつ動けるかを決め、順番待ちの列は目に見えていて、上手いプレイの相当部分が「最も強く動く者」ではなく「次に動く者」であるよう仕込むことに費やされた。『ドラマチックロード』は公式のスクウェア作品ではなく、この系譜は明言された影響ではなく当サイト独自の批評的比較である。受け継がれているのはその「列の扱い」だ。本作では味方と敵の手番がブロックごとに交代するのではなく入り乱れ、しかも自陣の順番を組み替えるためだけの専用コマンドが用意されている。分かれるのはシステムより上の全部である。ファイナルファンタジータクティクスはそれを中世王国の王位継承戦争に使った。こちらはそれを、バイクに乗った神奈川の高校生に使っている。

04あなたの手で、この原石を輝かせる

気になったら Steam で確かめて、最初の合格をあげてほしい。あなたの一押しが、埋もれた原石を輝かせる。

Steam で見る

05この味の血統