moon:その系譜と、子孫と、日本での評価
01この原点とは
『moon: Remix RPG Adventure』は、1997年に日本でラブデリックが発売し、後にオリジナルスタッフ自身の手でOnion Gamesからリマスターされた作品で、Steam自身のストアページで「アンチRPG」を自称している——迷い込んだ少年の前で屈強な勇者が経験値稼ぎのために動物たちを殺し回っており、プレイヤーはその勇者と共に戦うのではなく、殺された動物たちの魂を救い、残された愛を集めることでレベルアップしていく。ジャンルが当然視してきた暴力そのものを拒み、伝統的な勇者ならなぎ倒すだけの命に目を向けることにこそ本質が宿る、という和製RPG群の系譜の原点である。
02出典
03この原点を継ぐ発掘
Dig Night 埋もれた名作
Steam自身の表記によれば、本作はRPGツクールVXaceで制作されたダークコメディRPGだ。肉体分裂病、通称「ゴースト化」がはびこる社会で、うだつの上がらない臨時雇いの男・リカルドが「ゴースト清掃」のバイトに就き、街にはびこるゴーストの肉を掃除して日銭を得ながら、謎を解き、それぞれのゴーストの精神世界に潜ってその過去を知っていく。Steamレビュアーは独立に「OMORIやLISAに近い雰囲気やシステムだけど全然違う」と評しており、また、髪はボサボサでトイレに落ちたシケモクを躊躇なく吸える、というリカルドの生々しい生活感——英雄ではなくくたびれた中年男であること——への具体的な言及が繰り返し見られる。開発・発売はともに「INUSHIT」名義で、Steamの開発者検索でもこの名義に紐づくのは本作1件のみ。2024年12月19日発売。110件のレビュー(好評109件・不評1件)で好評率99%の「非常に好評」。無料ではない有料タイトル($3.99)で、アーリーアクセスではなく正式リリース済み、AI生成コンテンツの開示欄は無く、Steamのコンテンツディスクリプタは完全に空である。対応言語は日本語・英語・簡体字中国語で、遊ぶのを止めるものは何もない。110件のうち68件が日本語で、それ以外の全言語を合わせても40件にとどまり、AUTOMATON WESTを含めまだどの西側メディアも本作を取り上げていない——見つかるのは開発者本人のSNS投稿とアグリゲータ掲載のみだ。
Ichima-san 埋もれた名作
Steam自身の表記によれば、本作は人間の体を奪われ市松人形になってしまった主人公が、体を取り返すために日本家屋を探索するステルスアクションアドベンチャーだ。生きた人間に見つかってはならず、見つかりそうになったら人形のフリをして動きを止める必要がある。人間への直接的な抵抗はできないが、手に入れたアイテムでポルターガイストを発生させ、人間を気絶させたり誘導したりすることはできる。開発者自身のストア文言によれば、市松人形は元々女の子が可愛がって遊ぶ玩具だったのに、いつしか怖い存在として認識されるようになってしまった——本作はその可愛さへの原点回帰として作られたという。開発・発売はともに「sewohayami」名義で、Steamの開発者検索でもこの名義には6作品が紐づく——単独タイトルの純粋なソロデビュー作ではなく、小規模な自社/小規模パブリッシャーでの発売が続く開発者だが、大手・西側展開代行との混入は確認できなかった。2024年8月8日発売。70件のレビュー(好評70件・不評0件)で好評率100%。無料ではない有料タイトル($10.99)で、アーリーアクセスではなく正式リリース済み、AI生成コンテンツの開示欄は無く、Steamのコンテンツディスクリプタは完全に空である。正直に一点開示する——Switch版が別途リリースされており(わくわくゲームズ経由、大手ではない一般インディーレーベル)、京都のBitSummit Driftの公式選出作でもある。当サイトの他の発掘作に比べると現実の露出はやや厚めだが、Steam上の西側到達自体は薄いままだ——70件のうち52件が日本語で、それ以外の全言語を合わせても18件にとどまり、AUTOMATON WESTを含めまだどの西側メディアも取り上げていない。ヒットするのは4GamerのSwitch版発売・予約開始を告知する短い記事2件のみだ。